一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会

呼吸ケアとは

呼吸ケアとは、呼吸器疾患や心疾患を有する患者さんに対して、幅広い知識と技術をもって診断と治療を提供する職域横断的な医療専門分野です。
そして、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会(JSRCR)の名称にもなっている呼吸ケアには、狭義の呼吸ケアと広義の呼吸ケアが含まれています。

狭義の呼吸ケア

狭義の意味は、本学会の前身が呼吸管理学会と呼ばれたように、主に急性期(救急、救命)・集中治療(ICU・IRCU)における人工呼吸管理を行い、集学的な知識と技術を駆使した亜急性期以降につなぐ診療分野と医療を指します。
この急性期・集中治療においての診療の成否は、以降の亜急性期、慢性期、在宅医療における患者さんの生活の質と予後に影響を与えます。そのためJSRCRの研究・教育分野としても最も重要な分野に位置づけられています。

学会員として

研究領域においては、本会員の研究成果が呼吸器領域で最もレベルの高い米国胸部疾患学会機関誌である「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」などへ採択されることが大きな目的です。
本誌にはRespiratory and Critical Care(呼吸ケア)という名称が使われており、JSRCRの目的とも一致します。高度な知識と技術で呼吸ケアを患者さんに提供するためには、呼吸ケアに従事する医師のみならず、看護師、理学療法士など医療スタッフがJSRCRのメンバーシップをもつことが必要不可欠です。
そのためには、会員が学術集会への参加、機関誌、websiteなどを通して意見交換し自らの能力・技術を高める必要があります。本学会を通じて治療の開発とエビデンスの構築、チーム医療の効果・効率的実践、根拠のある有用な情報を共有することができます。

広義の呼吸ケア

広義の意味は、呼吸関連の疾病・異常に対する治療はもちろんのこと、予防、急性期治療から慢性期治療、さらには在宅医療や社会生活の維持など呼吸に関わるすべての事象に対して包括的な医療・看護・介護・社会的支援を指しています。

学会員として

JSRCRの会員は、医療・保健・福祉分野の従事者、行政職や医療機器エンジニア、開発スタッフなど産学官民のあらゆる人々によって構成される必要があります。対象は呼吸器疾患に限定されず、呼吸不全をきたすすべての疾患、病態から呼吸に関わる支援を必要とする他臓器の疾患まで幅広い領域の疾患を有する患者さんです。こういったすべての患者さんを支える多職種にわたる医療スタッフに、共にチーム一員として参加していただけたら幸いです。呼吸ケアのキャリアは、きっと皆さまの医療実践人生を充実したものにしてくれるでしょう。

(平成25年3月 岐阜市民病院 澤 祥幸 記)